堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます

鱸月

2013年03月18日 14:29

沢山の皆様からお見舞いのコメントを頂きありがとうございました





いつもはかる〜いるーぴんさんの口から出た

「海は一度引き込んだ物は返してくれないのが原則」



ずっしり応えました





こーいっちゃんの一言

「真冬の海でのライフジャケットは、遺体早期発見装置です」




そのとおりだと思いました





水温と生存時間(Rowing USA Dec.1985・Jan.1986 より)







(Masa 隊長とは別の) masa さんの手厳しいコメントもまさにそのとおりです

自己責任では済まされない出来事でした






「堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます」


書;鰭譚先生




『春と修羅』補遺 宮沢賢治より

堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます。
実にひらめきかゞやいてその生物は堕ちて来ます。

まことにこれらの天人たちの
水素よりもっと透明な
悲しみの叫びをいつかどこかで
あなたは聞きはしませんでしたか。
まっすぐに天を刺す氷の鎗の
その叫びをあなたはきっと聞いたでせう。

けれども堕ちるひとのことや
又溺れながらその苦い鹹水を
一心に呑みほさうとするひとたちの
はなしを聞いても今のあなたには
たゞある愚かな人たちのあはれなはなし
或は少しめづらしいことにだけ聞くでせう。

けれどもたゞさう考へたのと
ほんたうにその水を噛むときとは
まるっきりまるっきりちがひます。
それは全く熱いくらゐまで冷たく
味のないくらゐまで苦く
青黒さがすきとほるまでかなしいのです。

そこに堕ちた人たちはみな叫びます
わたくしがこの湖に堕ちたのだらうか
堕ちたといふことがあるのかと。
全くさうです、誰がはじめから信じませう。
それでもたうとう信ずるのです。
そして一そうかなしくなるのです。

こんなことを今あなたに云ったのは
あなたが堕ちないためにでなく
堕ちるために又泳ぎ切るためにです。
誰でもみんな見るのですし また
いちばん強い人たちは願ひによって堕ち
次いで人人と一緒に飛騰しますから。


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