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2009年06月20日

危険生物

 ここ数年,夏場になるとエイが回遊するのをよく見かけるようになりました.
彼らは,ナルトビエイというトビエイ科に属する大型の遊泳性のエイ類です.
本来は,南の海で生活していますが,温暖化の影響で生活圏が北上し,2000年頃から瀬戸内海の西域で見られるようになり,現在では瀬戸内海全域で確認されており,アサリなどの貝類を主食とするため,その食害が大問題になっています.

 ウェーディング時に「地雷」と恐れられているアカエイのように砂に潜ってじっとしているわけではないので,踏んづける確率は低いと思いますが,ルアーや針に引っ掛かって釣り上げる可能性があります.キュートな顔をしていますが,アカエイを同様に毒棘を持っており,誤って刺されると痛い目を見ますから注意しましょう.

 写真は'06年7月に芦屋川河口で釣り(引っ掛け)上げた体盤幅80cm級のナルトビエイです.重さは20kg近かったのではないでしょうか.最初は根掛かりしたかと思いましたが,凄いトルクでドラグをどんどん引き出していきました.重たいだけで釣り味には欠けます.慣れると,水中を羽ばたいている感触が伝わってくるのでエイだとわかります.希に,マンタのようなジャンプを見せてくれる奴もいます.
 ウェーディング中に掛かったら寄せてくる前に,陸に上がって陸上からやり取りしましょう.水中で足下に絡まれると非常に危険です.陸にあげてしまうとシーバスのように跳ね回ったりすることはありませんでしたが,尻尾の方には近づかない方が無難です.
危険生物


 憎めない可愛い顔をしてますが要注意です.
危険生物


 正面から見るとこんな顔.鼻先で砂を掘って,貝類を食べるらしいです.大食漢で瀬戸内のアサリ等は大被害を被っているそうですから,芦屋浜のアサリも危険かも知れませんね
危険生物




 毒棘を見てもらうために某所から拝借した画像です.尻尾の付け根付近に2本の毒棘が見えています.
危険生物


 こちらも拝借した画像ですが,棘と言っても針のようなものではなく,ノコギリのようなギザギザの返しが付いた鋭いナイフのようです.簡単には抜けない構造で,大きな傷を受けるであろうことが想像できます.
危険生物



 つまり,エイに刺されるということは,この鋭利な刺棘によって刺し傷や裂傷など手痛い傷を受け,さらに毒による損傷が加わると言うことなのです.

 ネットで見つけた医学文献に「エイ刺傷により腸管脱出をきたした1 例. 日消外会誌37(2):198〜201,2004年」というのがありました.要約すると,39歳の漁師さんが,船上で作業中にエイの刺棘で太ももの付け根を刺され,傷はお腹の中にまで達して,裂傷から腸が出てきたが,手術により一命を取り留めたという報告です
 他にも国内で,大腿動脈切断が原因で失血死した症例の報告があり,海外では毒棘により脊髄損傷や肝臓損傷を受けた報告,心臓に刺さって毒により心臓の筋肉が壊死して死亡した例などが紹介されていました.

 毒による局所症状としては激しい痛み,腫脹,内出血,知覚異常などがおこり,またしばしば壊死(肉が腐る)に陥るそうです.全身症状は,悪心,嘔吐,痙攣,血圧低下,呼吸困難,不整脈,などで,時として死に至ることもあるそうです.

 エイ毒はタンパク毒であるため,創部を洗浄して,40〜45℃ の温浴を30〜90 分間かけて行うことが特異的な効果をもつとされています(毒のタンパク質が熱により変性するからでしょう).

 エイに限らず高波,落水,落雷 etc. 危険は沢山あります,皆さん安全に釣りを楽しみましょうね







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